めっき炉の簡単な構造図を上図が表している。大別すると3つの組合せで出来ている。
1:燃料や空気の配管や燃焼装置やその安全対策等の機器(燃料供給部)
2:燃焼をコントロールする電気制御機器や記録等の機器(加熱制御部)
3:燃焼室や煙道、煙突等の耐火煉瓦やセラミックウール等を用いる炉本体(本体部)
実際には温度計や圧力計等の値からフィードバックして制御するので、大別していても連動している。
先ず第一に何を燃料とするのかから始まります。
また、バーナーを何にするのかによっても炉全体の構造や寸法も違ってくる。
1時間当たりどの位の仕事量をするのかでバーナーの能力を決めねばなりません。
バーナー方式にはハイスピードバーナー方式とフラットフレームバーナー方式がある。
ハイスピードバーナー方式はロングフレーム(フレームは炎の事)で釜の周りを加熱する方式です。
フラットフレーム方式は平らに拡がるフレームを釜側面に輻射熱にて加熱する方式で、バーナー本数が多くなり制御装置も増え大変高価となりますが、多い分だけ温度ムラが少なくなります。
その分、炉幅が大変広くなる事は考慮に入れなければなりません。
釜のサイズやラインの許容スペースなどを考えて、炉の寸法やバーナー方式を決めなければなりません。
安全装置の取付も大事な機器で、上図の中の火炎検出器は炎を監視する装置で、失火した際には燃料を遮断する弁に作動信号を送る機能を持っています。
計器類でデータを取る事は自社の釜交換時期を判断する材料にもなります。
電磁弁 |
コントロールモーター |
バーナーと配管 |
圧力計 |
温度調節計 |
火炎検出器 |
ハイスピードバーナー |
熱電対 |
ブロワー |
めっき炉のレンガは1種類ではありません。
大きく分けて耐火レンガと断熱レンガがあり、許容温度により番手が付いています。
直接火が当たる炉の内側は耐火レンガ、外側は断熱レンガというように使い分けます。
溶融亜鉛めっきの炉内温度は、700〜950℃ですが、実際には場所によって温度に違いが発生します。
レンガは番手により一個当りの金額がかなり違いますので、温度が高くなるバナー周辺等に高い番手のレンガを使用し、それ程上がらない場所を低い番手にすると言った工夫が必要です。
最近では、セラミックウールやボードを使用する方法を取る炉も増えてきています。
この場合は、炉枠と呼ばれる金属で出来た箱に取付ける方式となります。
このセラミックウールにも種類があり、許容温度に違いがあります。
但し、炉床は重量が掛る為、レンガを敷き詰めています。
実は、レンガも消耗品で、熱が加わると膨張収縮が起こります。
その為、レンガ積みには隙間を設けて膨張した時に備える工夫をします。
めっき釜程ではありませんが、耐熱性や強度が劣化して行くので、何回目かの釜替えを行う時にはレンガの交換も必要になってきます。